特別支援学校で教員として子どもたちと向き合うなかで、
ずっともどかしさを抱えてきました。
特別支援学校では、授業の中で
絵本を使って指導することが多くあります。
市販の絵本は、とても素敵で私も大好きです。
でも――情報が多すぎるのです。
背景の模様、キャラクターの表情、色の強さ…。
大人にとっては何でもない要素でも、
“見てほしい部分”へ注意を向けにくい子にとっては、
その一つひとつが集中を妨げる原因になります。
そんな場面を何度も経験するうちに、
必要最小限の刺激におさえた、“シンプルな絵本”があったらいいのに
と願うようになりました。
もうひとつ、大きな課題がありました。
市販の絵本は、基本的に“幼児向け”です。
けれど特別支援学校では、
中学生や高校生でも“形の見分け”“色の理解”“文字・数字理解”など、
幼児期と同じステップの学習が必要な子がたくさんいます。
でも、幼児デザインの絵本を中高生に渡すのは難しい。
「年齢に合う内容」かどうかは、
その子の自尊心にも直結します。
だからこそ、年齢に縛られず
どんな子にも読める絵本作りを心掛けています。
そしてもうひとつ。
教育目線で大切にしていることがあります。
それは、
絵本を“読んだだけで終わりにしない”ということ。
読み終わったあと、絵本の世界と関連する遊びや活動があると、
子どもの理解はグッと深まり、定着します。
特別支援学校の現場でも、導入として絵本を使い
そのあと絵本の内容に関する遊びや活動を行ったりします。
毎日忙しい先生たちが授業を作りやすいように、
・遊びや活動につなげやすい内容
・巻末に、具体的な活動アイデア
も載せてあります。
より効果的に子どもの認知・発達をうながしつつ、
毎日忙しい先生たちが授業を組み立てやすいように
また、ご家庭でも自然に取り入れられるように
読み終わった後のことまで想定して作りました。
絵本にぜいたくな装飾はありません。
でも、「発達支援えほんシリーズ」には、
・必要な情報だけを残した、シンプルで集中しやすいデザイン
・幼すぎず、どんな年齢の子にも使える内容
・読み終わったあと、すぐ遊びや活動へつながる構成
など、子どもの「わかった!」に寄り添う
工夫がたくさん詰め込まれています。
たくさんの子どもたちの「わかった!」の瞬間を増やし、
忙しい先生たちの負担を軽くし
親御さんもその喜びに立ち会える時間が増えることを願っています。
形・色・数・感覚・語彙…
子どもの認知・発達を育てる絵本を、今後も続々と制作していきます。
「こんなテーマで絵本を作ってください!」など、
ご希望がありましたらお気軽にご連絡ください。